横須賀美術館 ― 2007/10/29

今年話題になった建築の一つ。 台風一過の晴天に釣られて、思い当たったように横須賀美術館まで。 結構遠い。なんだかんだと2時間。
遠くても一度見ておかなきゃと思っていたし、また期待もしていた。 期待は裏切らなかった。 美術館らしくない美術館だと思う。いい意味で。
これほどまでに開けた印象の美術館というものもないのではないか。 その印象を決定付けているのは、機能の配列にあると思う。
アプローチは美術館へというよりは、カフェへ向かってという感じ。 カフェが前面に押し出されている分、通り側から見たオープンテラスの活気は美術館のエントランスポーチというには程遠い。
設計者のイメージとしては極端に言えば美術館という機能はむしろ二次的な要素として捕らえていたのではないだろうか。 結果、それがアートと来訪者との距離を縮めているようにも思う。 以前、同設計者は集合住宅において、最も環境の良い中庭側に浴室と洗面・トイレを持ってきて、共用廊下側にガラス張りの広間という配列を行い、話題を呼んだ。 配列の逆転という意味では、この美術館も似ているような気がする。 また、それをあっさりと上手くまとめあげてしまう手腕がやっぱり凄いと思った。 また、展示室の内部は「入れ子構造」(大きい箱の中に小さい箱が入っている)となっていて、その「入れ子構造」自体が、空間の面白さだけに使われているのではなく、展示空間の動線システムとしての「入れ子構造」を上手く採用している所なんかも上手だなぁと思った。
久しぶりに刺激をうける建築だった。
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