ザ・モダニズム ― 2008/09/02
灯台下暗し。とはこの事。 つい最近まで全然気がつかなかった。 生まれ育ちも名古屋で、22年間名古屋で生活しいて、こっち(東京方面)に来てからも年に何度も名古屋に帰省しているし、名古屋駅のこの建物の前も数限りなく通っていたのだけれど。。。。 昨年ぐらいか。。ふと見上げると、一目見て「おぉ、」 そのプロポーションといい、サッシのデザインといい、最上層のバルコニーのデザインといい、明らかにどこぞやの建築家が設計しているであろう建物。 これだけ洗練されているデザインなら今まで気がつかないはずが無い。 外壁も結構きれいなので、最近出来たのかなと思っていた。 しかし、よく調べてみると1966年竣工の建物。 設計は坂倉建築研究所。 コルビュジェの影響がかなり強いデザインなので、まだ坂倉準三さんが直接デザインをしていた時代の建物ではないかと勝手に想像。 竣工当時の写真は白黒だけど、全く変わっていない。せいぜい外壁の仕上げをやり直している程度。 馴染みの深い場所でも、ちょっと視点を変えれば今まで気付かなかった物や、見えなかったものが見えてくる。 そんなに昔からあったなんて。。。 この発見は自分でも正直驚いた。 名駅周辺はいろんな新しいビル群が建ち並んできているけれど、この建物が一番好みです。
犬山城 ― 2008/09/15
現在、国宝指定をされている天守は4っつ。 姫路城、彦根城、松本城、そして写真の犬山城。 国宝4城の中で最も小さいが、最も古いお城。 小牧長久手の合戦で豊臣秀吉軍が陣をしいた城。 歴史的にも建築史的にも貴重な遺構である。 ただ天守閣建築は、自分にとってのデザインソースとしては、殆ど参考にする箇所はない。 建築学の学問として、見ておくという感じか。 またこのお城の直ぐ近くに、やはり国宝指定されている「如庵」という草庵茶室がある。 これは、必見。
空間を感じる ― 2008/09/26
学生の頃、講師の先生から、「空間を感じる・・・」という言葉をよく聴いた。 「空間を感じる。」という事がどういうことなのかがよく解らず、その頃は、「空間」という言葉を使う事自体が自分自身、しっくり来ていなかった。 大学4年の卒業を間近に控えた時期に、「如庵」という国宝茶室の内覧可能日があるというので、「一応見に行くか」というわりと軽薄な気持ちで訪れた。 ところが、茶道口から茶室の内部に入った瞬間、背筋に緊張が走ったような、胸の中心が痺れる様な感覚に襲われたのを、今でも憶えている。 「空間を感じる。」という言葉の意味を、肌で感じた。 多分、「空間」という言葉は、口から発する言葉では表現出来ないのである。 それは、もう肌で感じるしかない。 だから、実際の建築を見に行くしかない。 こういう、感覚を経験できる事はそうはない。 また、その感覚には個人差があるだろうから、他の人が見ると「ただの狭い和室」にしかうつらないかもしれない。 それでも、そういう感覚が自分に備わっていた事が、妙に嬉しかった事も憶えている。 実は、この半年後ぐらいに東京で行われていた、イサム・ノグチ(彫刻家)の回顧展で、如庵で覚えた感覚を凌ぐ感動を得た。 建築やアートや様々な物を見る自分自身の中の価値観を、その体験で構築する事ができた。 逆に、この「如庵」と「イサム・ノグチの彫刻」を超えるような感動に出会う事が出来ていない。 超えるとは言わないまでも、それに近いものに出会えるよう歩きまわりたい。
如庵 ― 2008/09/28
如庵は、織田信長の実弟、織田有楽によって建てられた二畳半台目の国宝茶室。 元は建任寺(京都)塔頭正伝院にあったものが、昭和47年に愛知県犬山市の有楽苑に移築された。 「有楽窓」と呼ばれる詰打ち竹格子が嵌め込まれた窓や、古暦が書かれた腰張り等、随所に意匠的な工夫が見られるが、中でも特にこの空間に特徴を与えているのが、中柱と床柱に挟まれた点前座廻りの構成です。 茶道口から床柱に壁を斜行させ、茶道口から見た点前座の正面に中柱を立てて杉板を嵌め込み、そこに火燈口あけ、点前座向こうの半畳の空間と二畳の客座の空間を見事に繋げている。 機能的にも、壁を斜行させる事によって、茶道口から客座への給仕がしやすくなる等の利便性も兼ね備えられているようです。 とにかく、こんな小さな部屋に、これだけのふくらみを感じられる空間が演出できるものか。という感じです。 国宝の茶室は、他には有名な千利休による妙喜庵「待庵」(京都)、小堀遠州好みの大徳寺龍光院「密庵」席、がありますが、いずれも非公開か、見学には手続きが面倒で、それに比べると「如庵」は外からなら内部を見ることは何時でも可能ですし、内覧も期間さえ合えば簡単に体験できるところが良い。
最近のコメント