闇の存在 ― 2009/11/15

上の写真は何も写っていないのではありません。 「闇」を写しているのです。。。 -------------------------------------------------------------------- 今東京国立近代美術館で開かれている「河口龍夫展」で、最初に展示されている作品はボルトでしっかり閉じられた鉄の箱を16個床に整然と並べられたもの。 絶対に開ける事はできない。 何故なら中には「闇」が入っているからだ、ということ。 この蓋を開けると「闇」は無くなる。。。 -------------------------------------------------------------------- なるほど。。。 この作品はそもそも「闇」に名前を付けられていなければ成立しない。 まったく不思議な作品で、恐らく説明がなければきっと鉄の箱自体が作品だと思うのではないだろうか。 だけど、この作品の核心は箱の中の「闇」。 人間の目に見えるもの、知覚で感じる事が出来る事象だけが全てではない。 建築にもそんな事が言えるような気がする。 ちなみに、上の写真は私が遊びで撮った物。 河口龍夫作品のような深みはありません。
手法としての同一形態の反復 ― 2009/10/26

建築ではないものを見て、より建築的なものを感じる時がある。 コンテンポラリー・アート、特にミニマル・アートなんかは、より強くそれを感じる。 よくあるのが、一つのエレメントでは曖昧なものが、それらを幾何学的に整列させる事により、強い象徴性のようなものを持たせる事ができる。 もちろんそれだけではなく、幾何学を構成するエレメントが何であるのかが重要で、そのエレメントをチョイスするコンセプトというものが芯に存在しなければいけないのは言うまでもない。 同一形態の反復は、あくまで手法の一つ。
歴史は繋がっている。 ― 2009/04/06

4月5日まで、東京・上野の東京都美術館(写真)で「アーツ&クラフツ展」が開かれていた。 例によって行きたい行きたいと思いながら、忙しさの中ですっかり頭の中から消えようとしていて、ふと、週末(先週末)に何処かに行こうかと思い立って「そういえば・・・」という感じで思い出して、ぎりぎりセーフ。 先週末は桜満開で、とにかく花見客が凄かった。東京都美術館は上野公園内にあるので半端な人の数ではない。 多分、花見がてら・・と言う人たちもいただろうし、最終日前日いう事もあって、美術館は大盛況。
展覧会って不況の時ほど盛況なのかもしれない。 ――――――――――――――――――――――――――――― 「アーツ&クラフツ運動」とは19世紀後半にイギリスを端緒にヨーローッパを初め広く世界中に影響を及ぼした芸術運動で、民芸・手工芸品からインダストリアルデザインまで、アートやデザインを生活に結び付けつける精神を唱えた運動で、それまで芸術は教会や貴族など上級階層の人々にしかなじみがなかった事を考えると、かなり画期的な考え方だったに違いない。 建築にとっては、直接この運動からデザイン様式やスタイルが生まれたという訳ではないけど、その精神はかなり大きな影響があり、後にウィーンのゼツェッション(分離派)やアール・ヌーヴォー様式、更にはドイツのバウ・ハウスへと連続していったのではないかと思う。 アートやデザインを生活の中に・・・という精神は現在にも生きていて、その精神が無くなる事は将来無いだろう。 歴史は、特に精神の歴史は途切れる事なく必然的に繋がっているのだと思う。
余白な一日2 ― 2007/11/16
昨日は、午前中から以前いた事務所の竣工見学会があり人形町へ出かける。
見学会の後「よし梅」というねぎま鍋で有名な魚河岸料理のお店でランチをご馳走になる。 夜はそこそこの値段はするのだけど、ランチは900円から1000円とお手頃。 その後は新宿のケンジタキギャラリーへ、「塩田千春展」を見に。 ケンジタキギャラリーは名古屋にもあって、7年程前に友人から教えてもらい知ったギャラリー。 わりと自分好みの作品を扱っているので、できるだけ気にして見に行ったりしている。 塩田千春さんの作品は、ずっと一度直接見てみたいと思っていてようやく見れたと言う感じ。 やはり写真以上に想像力をかきたてられるようなインパクトがあってとてもよかった。 そのままその足で、東京オペラシティ・アートギャラリーへ。
「北欧モダン・デザイン&クラフト」展(~2008.01.14迄)を見に行く。
家具やインダストリアル系のデザインというのは、やはりヨーロッパのレベルが高いと思うが、こうして地域で区分して集められたものを見せられると、北欧系のデザインはかなり洗練されていると改めて感じた。 上手く表現できないが、「臭みがない」とでも言うべきであろうか。機能とデザインのバランスが「ほど良い」と思う。
余白な一日 ― 2007/10/05
行き詰っている。 たった10㎡足らずの増築なのだが、既存2階の上に載せるという計画で、ここ1ヶ月くらいはこれをメインにずっと考えている。非常に難しい。 構造的な問題はクリアしそうだが防水と施工方法の問題で行ったり来たりしている。 この手の特殊な工事は施工者任せでお願いしてしまうと後に問題になる可能性があるので、ある程度はきちんと将来的な事も想定して計画する必要がある。 が、正直こういった増築に関する、技術的な参考資料が無い。特殊すぎる。 あんまり煮詰まってしまったので、天気も良くなったし、午後からは久しぶりに展覧会を散歩がてら観に出かけた。 月島のタマダプロジェクト・ギャラリーに行く。キム・ホノ展。 とても良かった。 ちょっとヴァナキュラーな匂いのする現代アート。 ギャラリーも倉庫(2階)のリノベーションで天井の高い空間が飾り気のないシックな感じを醸し出してていい感じ。 特に現代アートと言うのは「余白」が大切だと思う。 何も無い真っ白い壁面が、いっそう作品に力強さを与える。 詩で言うならば「行間」のような物。 「余白」が緊張感を与え、リズムを与え、空間を創り出す。 それを、再確認。 月島に来たにもかかわらず、もんじゃを食べず。。一人でもんじゃ焼きもなんだし。。六本木の東京ミッドタウンを散策し、ギャラリー間で建築家の展覧会を観て、青山一丁目でスケッチをしてそのまま帰路へ。 平日の昼間から仕事サボってなんだ!という感じだが、後で「余白な一日」になったと言えるよう明日からまた、山積みの課題の検討です。
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