阪神高速の創る風景 ― 2007/09/01

主要都市近郊内を循環する環状高速道路は、その都市の風景を形成する大きな要素である。その都市のヴィジュアル的な印象に強く影響する。 東京では、起伏の激しい地形と高層ビル、そしてその合間をぬって走る首都高の印象が強い。 大阪でも阪神高速の織成す風景は、東京の首都高速道路とはまた違った印象を与えている。 大阪の地形は、東京ほど起伏の激しさは感じられない。その代わり川が異常に多い。「水の都・大阪」をアピールする気持ちが判る。だから、水辺と高層ビルと阪神高速道路が混在したイメージが強い。 更に面白いのが、ビルと高速道路の物理的な距離感が殆ど無いポイントが多い事である。 例えば東京の首都高なんかは、主要幹線道路の上を走る様に構成されているので、「ビルとビルの隙間をぬって走っている。」と言ってもビルと高速道路の物理的な距離には若干ゆとりがある。 しかし、大阪の阪神高速は、必ずしも一般道の上に走っているというような構成にはなっていない。 街造りの優先順位は、まずビル(建築)にある。まずは、ビルを建ててその上から高速道路を重ねてみる。そして、高速道路とビルが重なってしまった部分はビルを一部削る。或いはビルの中に高速道路を通す。というようなイメージである。 ある意味、大阪の大胆な気質がそのまま都市のダイナミズムとなって現れているような、そんなインパクトがある。 最も今回は梅田から難波にかけての間しか見てないのだけれども、大阪という大都市のイメージの一つだろうと思う。
阪神高速の創る風景―2 ― 2007/09/01

高速よ。何処へ行く。。。。
スケッチ-2 ― 2007/09/04
自分の描くスケッチには99.9%着彩はしない。 ほとんどが4B ・0.9ミリのシャープ1本だけ仕上げます。 いや、仕上げるという表現は的確ではなく、どちらかいうと「まぁ、こんな感じか。。」というところでフィニッシュ。 スケッチブックは月光荘という銀座にある老舗の画材屋の一番小さいもの(掌より一回りくらい大きいか。。)が殆どです。15年以上は愛用している。 ここのスケッチブックは、コットン紙やマーメイド紙といったような重たいイメージのものではなく、実際軽くて気取りがない。お手軽である。 自分は画家ではないので、スケッチを商売としていない。 要は”構える”必要がないのである。。。というより、”構えたくない”のでこういうアイテムになったといった方が良い。 昔、(ビート)たけしが「どんなに貧乏になっても、続ける事、続けられる物が趣味というもので・・・・」というような事を言っていたが、まさにその通りで、はっきり言ってスケッチは、ほぼ資本ゼロである。描く対象は日常生活の中だけでもごろごろある。 ただ、趣味という言葉も少し軽くて、自分にとってライフワークというか、生活の一部でもあるように思うような時もある。 スケッチに関するエピソードみたいなものは幾つかあるので折々書いていこうかと思う。
台風9号 ― 2007/09/07
今、外の風の音がすごい。 神奈川県は台風9号の暴風域の真っ只中です。中心気圧が965hPaだから結構勢力の強い台風と言える。 私は構造計算の専門家ではないけど、一応。 建築物に掛かる短期の外力には主に地震力と風圧力があり、この風圧力というのが意外に軽視できない。 地域により計算上の基準風速(現在:30m/s~46m/s)が定められていて私の住んでいる神奈川では34m/s。沖縄辺りはさすがに46m/sとなっている。 風速も30m/sを超えてくると、ちょっとした規模の住宅でton単位の水平力が掛かってくる。 ただ地震国日本の場合、通常は地震力の方が上回るケースの方が多いので水平外力は地震力を基準として設計される為、台風による建物倒壊という話は余り聞かない。 しかし、油断をしているとガラスの破損や庇・屋根仕上げの破損などが起こりうるので設計者も注意しなければいけない。 もう一つ。台風は水害ももたらすから、雨にも注意。
美しい駅 ―JR浅草橋駅プラットフォーム― ― 2007/09/10

東京23区内の鉄道網の充実振りは日本一だと思う。 当然鉄道の駅も多く、近年は新しい地下鉄の駅なんかも建築家によってデザインされたなかなかハイレベルな駅舎が多数出現してきている。 反面、JR山手線や総武線・中央線なんかは、まだまだ古いままの駅も数多く残っていて、中には「おお!(ちょっとおおげさか。。)」と思うようなデザインのものもある。 そんななか、新旧問わず美しいと思った駅はJR総武線の「浅草橋駅」。 23区内のJR主要線の駅としては最も小さい部類に入る駅で、レールは上下線の2本のみ。 駅舎としてはなんのヘンテツもない建物なのだが、高架プラットホームに架かる屋根の構造がとても素敵だ。 初めて降りた時は、仕事での利用だったので当然そんな情報は全くインプットされていなかった。駅に降りて電車が出発して屋根を支える架構の全体が現れた瞬間息を呑んだ。 構造は昔ならではのレールが使われていて、それが真っ白に塗られている。繊細なレールによるアーチのかかった骨組みが適度な間隔で並べられていて、ホーム上のスレート屋根に依る深い陰影と、レール上の吹きさらし部分の光が、その架構の心地よいリズムをよりいっそう際立たせている。 浅草橋駅から利用する場合は高架駅であるため、地上で切符を買って階段で上がってプラットフォームの一番端に出る事になるが、これがまた印象的であった。 ちなみに、誰々という建築家(デザイナー)が設計したというものではないと思う。 美しいものに必ずしもデザイナーが関与しているとは限らない。むしろ変な気取りがなく、合理的でシンプルな考えで創られた物は、時に名声のあるデザイナーがデザインした物に匹敵、或いは上回るような物を生み出す事もある。 「JR浅草橋駅」はそんな一品ではないかと思う。
上記写真は5年程前に撮影。2007年2月の時点では健在。
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