夢殿2014/03/05

東院伽藍は、西院の東大門をくぐり、石畳路を東にまっすぐ150m程進んだところに位置する。                                                                          東院伽藍は、聖徳太子の住居であった斑鳩宮の跡地に建立された寺で、中でも夢殿は東院伽藍の中心建物の八角円堂。中には聖徳太子の御影と伝えられる救世観音が安置されている。                                                        739年建立の建物であるが、1230年に改修がなされた際屋根が架け替えられ、建立当時の屋根より勾配が強くなっていると考えられている。                                                                                       円堂とはいっても平面的には八角形ですが、実に美しい建物で、名工の手により造られた置物のようです。                                                                                                            東院は西院と比べると、(私が行った時は)観光客も比較的少なく落ち着いて見学できました。                                                                         法隆寺は是非また行きたいと思えるお寺です。

エンタシス2014/01/26

飛鳥・奈良時代の古建築には、エンタシスと呼ばれる丸柱に膨らみのついた意匠をもつものが見られる。                                                                  法隆寺西院の中門(写真)は、特にそれが顕著に確認できる例だろうと思う。                                                                                    --------------------------------------------------------------                                              このエンタシスを持つ柱のデザインは古代ギリシアの神殿建築にも見られる手法で、人が下から見上げたときのバランス、安定感を意識したものだと言われています。                                                                         不思議なのは、古代ギリシアでいうと例えばパルテノン神殿なんかは紀元前400年頃であるのに対し、法隆寺は西暦600年代後期から700年代初頭頃の建立と言われており、年代はもちろん距離的にもかなり離れた位置関係にあるにも関わらず、同じ様な手法が用いられている事で、驚きです。                                                                                                                         当時の日本が、ギリシア建築を知っていたとも思えないし、偶然の産物、、、、、いや、、、偶然とかではなく、バランスや安定を感じる感覚には、人類に共通の感覚のようなものがあるんだろうなぁ。

法隆寺2014/01/14

法隆寺は、言わずと知れた聖徳太子により創建されたとされ、境内は西院と東院伽藍から成る。中でも西院伽藍の金堂・五重塔・中門は現存する世界最古の木造建築である。                                                                  しかし、この西院伽藍も創建当時のものではなく、『日本書紀』によると670年に法隆寺が焼けたとされており、その後の再建であると考えられています。                                                                                 奈良には古代寺院の伽藍がたくさん現存しているが、法隆寺境内の「空気感」とでも言うのだろうか、その雰囲気はどの寺院にもない特別なものを感じずにはいられない。                                                                   大げさに言えば、日本の原風景と言えるような「におい」があります。                                            近年では、聖徳太子の虚像説なんかも出ているが、事実がどうであれその「におい」は褪せない。

都心の美術館2010/12/19

根津美術館へ。                                                                                 東京南青山にある根津美術館は、それまでの本館(今井兼次・設計)を取り壊し、新たに隈研吾建築都市設計事務所により建て替えられ昨年新規開館した。                                                                                良かった(いい美術館という意味)です。                                                                 それまでの本館も結構な有名建築でいい建物だったのだと思うのですが、何せ1954年の建物で(古いから悪い訳ではないが)、この半世紀以上の間の周辺環境の発展のしかたは目覚ましいから、若干時代に取り残された場所になっていたような感があった。                                                          また、扱っている展示品が古美術だから、この辺りを訪れる人々の年齢層とのギャップもあって尚更である。                                                                 昔、旧館時代に私が行った時は、人も少なく年齢層も高めだったような記憶がある。                                                                                  でも今日は、若いカップルや、外国人のツアー観光客風な人たちで結構賑わっていた。                                                                               建築が、展示品と人とのギャップを埋める事に成功した好例だと思う。                                                                                          美術館は、展示物を観賞する事が主要な目的なのかもしれないけれど、そんなインテリっぽい要素だけではなく、もっと気楽に、デートの場所に利用するとか、通りすがりに入ってみるとか、何か娯楽的な要素も備わっていた方が良いと思っている。                                                                   都心にある美術館ならば、尚更そうした要素を求められるのではないか。                                                                                        そうしてやって来た人と、美術品とを繋げるきっかけをつくる場でもあるのだから。                                                                                  ちなみに前の美術館に比べると、今の美術館はかなり入りやすい雰囲気になっていると思う。                                                                             建物のデザインが良いというのも確かだけど、一番良くなったのは、通り側の塀が無くなり、竹による接道緑化で、敷地と通りとの領域境界が柔らかくなった事と、表参道の交差点から直接美術館へアプローチ出来るようになった事だと思う。                                                                       前は確かこのアプローチは無かったような気がする。

パースペクティブ2010/12/16

京都・南禅寺を通る水道橋の柱脚アーチ。                                                                明治期に琵琶湖から京都市内に引かれた水路で今も生きている。                                                昔、JR東海のCMでも流され、日本の伝統的な建築が立ち並ぶ寺院の境内を横切る西洋風の水道橋のミスマッチな風景が、逆に時代の奥行きを感じさせてくれるようなインパクトのある風景です。                                                      京都では、コンクリートの建物のてっぺんに無理やり和風な瓦屋根のようなものを作らされる事があると聞いているけど、 変に現代の素材で和風にデザインされたものよりよっぽど、こちらの方がなじんでいるように思う。                                                                                      まぁそれはさておき、写真は風景の話ではなく、以前にも書いた同一形態の反復。                                                                                   空間の奥行きとリズムを視覚として感じる事が出来るので解りやすい。